FEATURE - 2025.02.28

FUJIの中の人が語る。製品紹介 05 ~STAUT編~

製品ページだけでは紹介しきれない部分を紹介させていただく、このシリーズ。

我ながら振り返ると信じられないぐらいのブランクがありますが…間が空いても趣旨は変わらず。FUJIの自転車買ってみたいけど悩んでる、買ったけどもっと深く知りたい。そんな方の助けに少しでもなれれば幸いです。

 

今回紹介するのは、デビュー間もないうちからお問い合わせも多い2025年ニューカマーの一台、「STAUT」。
これまでも「HELION」というロングセラーのミニベロを定番のシリーズとして展開してきているFUJIですが、強いて言うならば「ロードバイクのようなスポーティな走行を目指す小径車」がコンセプトのHELIONシリーズに対して、このSTAUTは「都市生活もツーリングもマルチにこなしたいオールインワンな小径車」といった感じでしょうか。

扱いやすく頑丈なクロモリ製のフレームで、汎用性を意識した設計と仕様

FUJIの定番とも言えるクロモリチューブを採用したフレームは、シンプルで無駄のない佇まいで、時代に左右されないスタンダードなスタイル。ワイドなライザーバーとギアトラブルの少ない1×8速のパッケージでで、シティライド〜ライトなツーリング用途を想定した仕様ですが、よりハードコアな小径愛好家からのニーズも想定し、ドロップハンドルへの換装やフロント多段化(Fディレイラーの後付け)も想定したジオメトリー設計としました。ギア周りのアレンジによってはより長距離/起伏の激しいライドにも対応できるポテンシャルを持っています。また、シティライドに便利なセンタースタンド/フェンダーを想定した台座やがある一方で、各種アイレットも抜かりなく備えているので、別途ギアやラックを追加して、日を跨いだキャンピングライドを楽しむことも可能です。
※FUJIが考える、クロモリ自転車の魅力はこちらをご覧いただければと思います。

 

豊富なエアボリュームと一回り大きな外径が生み出す、高い走破性と巡航性

タイヤは、乗り味にもっとも大きく影響を及ぼす要素。一般的に、700cなどに比べて快適性が低いと言われがちな小径車ならなおさらです。STAUTは20″x1.95″のブロックタイヤを採用することで、小径車ながら高い快適性/トラクション性を実現。また、フレーム側のタイヤクリアランスは最大20″x2.4″まで取られており、よりファットなタイヤへカスタマイズすることで小径車としては未体験に近いレベルで唯一無二の乗り心地/個性的なスタイルを実現することも可能です。さらに少し専門的な話になりますが、太いタイヤの副産物とも言える「一回り大きな外径」は20インチ(406)においては一般的な451×28cサイズのタイヤと同等の外径となり、巡航性能の向上にもつながっています(700cに対する650Bロードプラスサイズと近い発想)。

 

荷物が多くなりがちな人も安心。大きなクリアランスと豊富なアイレット

ミニベロのフレームは、設計上フレーム周囲に余分なクリアランスが生まれることがほとんどです。車体から少し離れて見てみると、シャープなクロモリチューブで囲まれたダイヤモンドフレーム内のスペースも、ハンドル〜フロントタイヤのスペースも、700cのそれに比べると必然的に遊びが大きいことに気付くことかと思います。
やや主観にはなりますが「こういったクリアランスをどう活かすか」みたいな部分もミニベロの隠れた楽しみの一つ、のような気がします。そして、この特性と相性が良いのが、この数年で大きく市民権を得たバイクパッキングという文化。STAUTなら、フロントトライアングルはフルサイズのフレームバッグをオーダーして丸ごと積載要素として確保しつつ、ライド中の活用頻度が高くなりがちなボトルや小物は、アクセスしやすいシートチューブ部分のアイレットにつける、なんてことも可能です。しばしば耳にする小径車のメリットとしては「車輪が小さく取り回しがしやすい」ことがよく挙げられますが、小径車ならではの「スペースの遊び」は、普段の生活にも週末の冒険にも小さな恩恵をもたらす一つの要素となることでしょう。

「ツーリングを視野に入れたバイクなんだったら、やっぱりここにも欲しくないですか?」という開発者のパンチラインが頭に浮かびそうな、何をつけるかはさておき、冒険系サイクリストの妄想を刺激するシートチューブ後ろにまで備えられたアイレット。いざという時にフロントトライアングルやフォークのアイレットだけではとても収まりきらず溢れ出るサムシングを、こいつが受け止めてくれることでしょう。
ハンドルからタイヤまでの距離が長いのも小径車の隠れた利点。写真のような大きめなハンドルバーバッグは、700cであればラックや台座などで垂れ下がりをサポートしタイヤへの干渉を防ぐ必要が出てきますが、小径車ならラックなしでも心配なし。バスケットを装着する際にも700cのそれよりさら深く容量の大きなモノを選択することが可能です。

旅行用バイクとしても持ち運びやすく、集合住宅で保管スペースが限られた人にも

一般的に言われる小径車のメリットとして、取り回しがしやすい、漕ぎ出しが軽い、など乗車時の扱いやすさへのメリットが挙げられるのは前述のとおりですが、ホイール/車両全長がコンパクトであることは、非乗車時にももちろん恩恵があります。例えば前輪を外した時のサイズは700cに比べよりコンパクトになり、旅行用バイクとしての使い勝手も抜群。保管の面でハードルが生まれるマンション暮らしの方も、小径車であれば自部屋保管のハードルがかなり下がることでしょう。コンパクトなスケール感のメリットは、乗車時のみでなく非乗車時にもあるのです。

 

3サイズ展開で乗り手の身長を選ばない

STAUTに限らずですが、サイズ展開が豊富であることはFUJIの自転車の特徴の1つ。と言うのも、我々のような所謂マスプロダクションを提供するメーカーは、一般的に生産効率の面でもどうしてもサイズ展開を絞りがちなのですが、FUJIは多くのモデルで可能な限り幅を持たせたサイズ展開をラインナップすることを心がけています。小径車はどちらかと言うと低身長な方にオススメされがちですが、STAUTは、44/50/55cmの3サイズ展開で、弊社算出の適応身長に置き換えると152㎝~185㎝と、幅広い体格の方に乗っていただくことができます。
これまで、サイズ展開の少なさゆえに小径車を選択肢から外さざるをえなかった、そんな高身長なあなたも。身長180センチの自分が乗ってみても、まったく窮屈さを感じなかったSTAUTは、背の高い方にもぜひ乗ってほしい小径車として、自信を持ってオススメできます。

普段の生活や通勤はもちろん、週末のツーリングも、輪行ライドもキャンプライドもこれ一台でシームレスに。一見すると一部の熱狂的な愛好家のための自転車か、と敬遠されるかもしれませんが、そうでない多くの人にこそ興味を持って欲しい自転車。
熱心なサイクリストの間では、「目的によってそれぞれに適した自転車を所有すべきである」という考えがあると聞いたことがありますが、それにはコストも保管場所も必要になるため、多くの人にとって自転車を複数台所有することが現実的ではないのは明白です。生活に多くのものを持たないミニマルな現代人に対して「もしアイデアが詰まったオールインワンの自転車があれば、たとえ一台であってもその人次第でどの用途にも楽しめるはずだ」というマインドがうんだ、FUJIにとって現時点でのアンサー。STAUTを、ぜひあなたの発想で自由に楽しんでください!